はじめに
千葉大学園芸学部3年の徳田祐子です。
2021年7月より、千葉大学の「地域志向型インターンシップ」という授業を通し、幕張PLAYのインターンシップ生として活動しています。
このレポートでは、流山市在住のイラストレーター、ノグチノブコさんをご紹介します。ノグチさんは、個人事業主として、多くの書籍やホームページ等のイラストを手掛けています。2020年には、「流山みりんの歴史を多くの人に伝えたい」と、all or nothing型のクラウドファンディングに成功し、『マンガ・流山みりん物語』を制作しました。そんなノグチさんのイラストレーターとして挑戦し続ける姿をお読みください!
みりんの歴史に驚いた
徳田:ノグチさん、そもそもどうして「みりん」をテーマにイラストを描いたのですか?
ノグチさん:順番に説明しますね。まず、私が流山商工会議所の会員なんですけど、2018年に流山商工会議所で、私を含む有志メンバーが集まり、まちおこしを行うことになったんです。まちおこしは、流山市の名産品である「本みりん」で行うことになって、「みりんde繁盛実行委員会」が立ち上がったんです。
委員会では、まちの人に流山みりんを身近に感じてもらうため、市内のみりんグルメを扱う店舗を記載したグルメガイドブックを作成することになりました。そこで、イラストレーターである私は挿絵を担当することになり、みりんの化身の女の子”みりんちゃん“と、お供のマスコット”こぼれ梅“というキャラクターを考案しました。こぼれ梅は、みりんの搾り粕のことです。
徳田:みりんって、お酒みたいに粕が出るんですね。作り方とかも全然知らないなぁ・・。
ノグチさん:私もそうでした。なので、マップを作成する前は、メンバー皆で歴史を学ぶところから始めたんです。すると、昔はみりんは高貴なもので豊臣秀吉に献上されていたことだったり、明治時代に流山みりんがウィーン万博に出展していたことだったり、「流山みりん」の歴史が深くて面白いことに気づきました。
徳田:そんな歴史も!ノグチさん、昔から歴史は好きだったんですか?
ノグチさん:はい、数学のテストでは30点くらいだけど歴史は100点!ということもありました(笑)。流山みりんの歴史を学ぶ中で、面白い事実が多いことに驚き、「多くの人に知ってほしい」と感じるようになりましたね。そして、「マンガにして分かりやすく伝えられたらいいな~」なんて。
クラウドファンディングへの挑戦
徳田:クラウドファンディングは何で挑戦することになったのですか?
ノグチさん:「マンガを作れたらな~」なんて思っていた時、ちょうど、流山商工会議所青年部が主催する、「流山市限定クラウドファンディング」の募集がかかったんです。
徳田:ベストタイミング!
ノグチさん:そこで、歴史書『流山みりん物語』(川根正教さん著・崙書房出版刊)を基に、子どもたちが親しみやすく読めるマンガを制作しようと、この企画に挑戦することを決意しました。マンガは、流山市内の小学校に寄贈することを目標にしました。
徳田:流山クラウドファンディングは何団体チャレンジしたのですか?
ノグチさん:5団体です。多くのプロジェクトが「all in」方式だったのですが、私は、マンガの印刷費を確保する必要があるため、「all or nothing」方式を選択しました。
徳田:お金が入るか0か、イチかバチかの挑戦ですね・・!
※「all in」方式は、集まった資金が目標金額に達しなくても挑戦者の手に入るのに対して、「all or nothing」方式は、目標金額に達しないと挑戦者の手に入らない。
ドキドキのクラウドファンディング
ノグチさん:「もしかしたらすぐ達成できるかも!?」とちょっと期待していたんですけど、スタートダッシュは今一つで、最初の5日間で集まった資金は、目標金額の39%でした。
徳田:うわあ、最初それだと心配になりますよね。緊張しましたか?
ノグチさん:ドキドキして死ぬかと思いました。あれは体力と精神力を使いましたね・・・
徳田:そこからどうやって追い上げたんですか?
ノグチさん:クラウドファンディングアドバイザーの方から、「情報発信が重要」という助言を頂いて、コツコツとSNSやブログで発信しました。知り合いに対面で声かけもしましたよ。
徳田:効果はありました?
ノグチさん:はい、知り合いに話すと、中には「良い取り組みだね!」と応援してくれる人もいました。また、徐々に知り合いだけでなく、流山市外の人々からも支援が集まるようになりました。
徳田:市外からも!目標金額はいつ達成したんですか?
ノグチさん:ゴール日の8日前でした。最終日には138%、合計106人から90万円もの資金が集まりました。
本番はクラウドファンディング後だった
徳田:凄い!!クラウドファンディング達成した時はどんな気持ちでした!?
ノグチさん:実は、クラウドファンディング直後のことはあまり覚えていないんですよね・・・
徳田:何でですか!?
ノグチさん:クラウドファンディング後はマンガを完成・発送しなきゃで、怒涛のスケジュールが待ち構えていたんです。
徳田:多くの人から支援を頂いたからこそ、期待に応えなきゃいけないですものね。何が大変でした?
ノグチさん:眼精疲労ですね・・(笑)。長時間描いているので。あと、期限が迫ってくる重圧ですかねぇ。無事、2020年12月にマンガは完成しました。
徳田:マンガはその後どうなっていますか?
ノグチさん:マンガは、クラウドファンディング支援者の皆様に発送しました。また、目標であった「流山市の小学校の学級文庫として1200冊を寄贈」もできました。実は、その後、教育委員会から私に連絡があり、マンガが流山市内の小学3年生の郷土学習の教材に使われることにもなったんです!
徳田:凄い!目標を超える展開!クラウドファンディングで人生変わりましたね!
ノグチさんのこれから
徳田:ノグチさん、全然関係ないんですけど、どうやったら絵が上手くなりますかね?(笑)
ノグチさん:どういう絵を描くかによりますね。「絵を描く」って大きく2種類あると思っています。
徳田:2種類ですか?もう少し詳しく教えてもらっていいですか。
ノグチさん:はい。1つ目は、デッサンのように技術を習得して「上手く描く」こと。2つ目は、「好きなものを描く」こと。私は後者の絵描きですね。
徳田:ノグチさんの好きなものって何ですか?
ノグチさん:未だに分かってないんですよね。ただ、誰かが喜んでくれるものを描くのが好きなんだと思います。
徳田:素敵!
ノグチさん:今後は、イラストレーターとして、様々な業種の人々と融合しながら活動し、地方創生の事業にも携わっていきたいです。例えば、房総の地図をイラストマップにして、それを見た人々が遊びに行くきっかけになったら良いなとか。
徳田:めちゃくちゃ良いですね!
ノグチさん:あと、野望なんですけど・・・。
徳田:何ですか!?
ノグチさん:みりんちゃんをアニメ化できたら良いなって思ってます。
徳田:見たい!!色んな調味料が出てきたら面白いですよね!
ノグチさん:はい、いつか仲間が広がっているかもしれません(笑)
徳田:楽しみにしています!!
挑戦することを止めないノグチさん。その日が来ることを願って、これからも応援していきたいです。
ノグチノブコさんのご紹介
- クラウドファンディングサイト