8月7日(日)に行われた千葉市動物公園×太田ゆか ”Live Safari from South Africa”バーチャルサファリの様子をお伝えします!
全7回あるうちの第3回目となる今回はゲストスピーカー5名をお招きし、最初に広大なサバンナに朝日が昇る姿を見学。その後は前回のトークセッションで学んだ密猟や環境問題について、現地でのヒントをもとに より実践的に学んでいくツアーとなります。
会場には夏休みのご家族連れの姿も見受けられ、オンラインでもお子さまが多く参加してくださっていました。
広大なサバンナのサンライズ、見られるか見られないかは運しだい⁈
このバーチャルサファリはリアルタイムで繋いでいるため日の出を見られるか見られないかはお天気や状況に左右されます。
果たして日の出は見られるのでしょうか?
日本との時差7時間の現地は朝6時。日本にいるゆかさんはオンラインでの参加で、現地では同僚ガイドのカヤさんが案内してくださいます。
日の出にはまだ時間があるのですが、まだ暗いサバンナの空が赤く染まって幻想的。
この時間が最も美しい時間帯だそうです。
日の出を待つ間、ゆかさんにはオンライン参加の方がチャットに書き込んでくださった質問に答えていただきました。
現地での食事など普段の生活の様子や気候など 皆さん興味津々です。
日本が夏の時期は南半球の南アフリカは冬で乾季にあたるシーズンです。この日の朝の気温は16度。ガイドさんは分厚いジャケットを含め4枚も着込んでいました。アフリカといえば灼熱の太陽というイメージですが、冬の現地サファリツアーに行くときにはダウンなど温かい服が必要ですね。
いよいよ太陽が!
和やかムードで始まったバーチャルサファリツアー
いよいよ広い地平線から日が昇り始めます。
燃えるような真っ赤な太陽が顔を出します。日本で見るよりずっと大きく見える太陽が力強くアフリカの大地を照らしながら昇ってくる様子は圧巻でした。
太陽が雲に隠れて見えない日もあるそうなのですが、この日は少しだけかかった雲が太陽の美しさをより際立たせてくれました。
サファリツアーに出発!
最高のスタートをきったあとは、いよいよサファリカーで野生動物を探しながら様々な問題について学んでいきます。
ところでこのサファリカー、実は日本製の車を改造したものなんです
屋根やドアなどを大きく外してしまっているサファリカーでの移動。
ライオンなどに襲われそうになったことはないのかという質問には、動物たちの表情や行動をよく見てその時々によって距離を保つようにしているという回答が。
また、訓練生時代に干ばつで水が少なくなっているところ、水場に近付きすぎたため水不足でストレスをためていたカバに追いかけられてしまったというエピソードも話してくださいました。
今回案内していただくクルーガーの自然保護区は約5000ヘクタール。
日本でいうと東京の江戸川区と同じぐらいの大きさがあり、その広大なサバンナに様々な野生動物たちが暮らしています。
どんな動物に出会えるか、どんな学びがあるのか楽しみですね
生息地の減少について
しばらく進んでいくと、ぞうが食べた後の木を発見。
ゾウが皮を食べ、高いところの葉っぱを食べるために木を折った後のものです。
ゾウは食べたものの40%ほどしか体に吸収しないといわれているため栄養価の高い木の皮を好んで食べるのですが、問題点としては皮がなくなったことで木が栄養を失って枯れてしまったり、木の中に虫が入り込むことで木の劣化が早くなったりということがあげられるそうです。
また、ゾウが木を折ったり倒したりすることによって背の低い動物たちも高いところにあった葉っぱなどを食べることができたり、枝や葉っぱを隠れ家にすることができることで生態系がうまく保たれてきたはずなのですが、今まで生息地だったところが商業化・工業化されることによって住むところが減少。それに反してこのクルーガーでは、ゾウの数が統計を取り出してから最多となっているために木の数とゾウの数のバランスが崩れ、ハゲワシなど大きな木の上に巣を作る鳥の巣作りの場所が少なくなってしまうなど生態系にも問題が起きてしまっているとのことでした。
野生動物保護に協力的な経営者の方ももちろんいらっしゃるけれど、経営にはお金がかかるため、農場などにすれば利益があがり経理状態が良くなるという悩みもあるようです。
密猟について
前回のトークセッションでは密猟には2つの種類があると学びましたが、今回取り上げるのはその中でも地域住民が生活のために行う密猟についてです。
貧しい人たちが行う密猟は、安価で手に入るワイヤーで作った罠を仕掛けるものです。
彼らが狙うのはインパラなどの草食動物。罠を仕掛ける場所も水辺近くの獣道などで、1つだけではなくまわりにいくつか仕掛けておくなど密猟者たちも動物たちの行動や動線などをとてもよく理解しているとのことでした。
このワイヤーを使った罠には食用になる草食動物だけでなく、ライオンやゾウなどの本来食用にならないものや、時には絶滅危惧種がかかってしまうことがあります。
ゆかさん達の元にも2週間に1度ぐらいの頻度で罠にかかった動物の情報が入ってくるのだそうです。
カヤさんがワイヤーを使った罠を実際に仕掛けて見せてくださるデモンストレーションを見せてくださいました。
何の変哲もないワイヤーでいとも簡単に罠を作ってしまいます。
そして動物がどのように罠にかかるのかをわかりやすく解説していただきました。
細いワイヤーは慌てて動けば動くほど締め付けられ、時には体に食い込んでけがをしたり体が切れてしまうこともあるそうです。
罠の仕組みはとても単純なものですが、よく考えて作られています。
この密猟は困窮しているところや自然保護区との関わりが薄い場所、恩恵を受けられない人たちが多いほど増える傾向にあるそうなので、保護区と地域住民との連携を取るということも大切なことだと教えていただきました。
今回出会えた動物たち
日の出前から活発に活動しているのは鳥たちです。
夜が明ける前から声が聞こえてきていました。ガイドさんは声を聞いただけで鳥の種類がわかってしまうんです。さすがですね。
最初に姿を見せてくれたのはサイチョウの仲間 アカハシコサイチョウとキハシコサイチョウいうライオンキングのザズーのモデルになったといわれている鳥。
その後も木の棘に獲物を刺しておく賢い鳥 シロズキンヤブモズや水場にはエジプトガンの姿も。
今は乾季なので通常であれば水場は乾いてきているはずなのですが、まだ豊富に水が残っていました。乾季でも大雨が降るなど気候の変動を肌で感じることが多いと話してくださいました。
もう少し進んでいくと今度はゾウのウンチを発見。カヤさんによると昨日の晩のものらしいです。手に取って絞ってみるとたくさんの水分がでてきます。それだけ新しいものだということですね(その後水場に手を洗いに行っていましたよ。ワニがいない水場だからできることだそうです)
その後も鳥には出会えるものの動物にはあまり出会えなかったのですが、珍しくオスとメスが一緒のインパラを見かけたり、カラフルで美しいライラックニシブッポウソウという鳥に出会うことができました。
シロサイの大きな足跡も発見。カヤさんが言うには朝になってからついたものだそうです。
なぜわかるのかというと、夜行性動物の足跡の上についているから。すぐ近くに潜んでいるかも!と期待しましたが出会うことはできませんでした。
ガイドさん達も最近シロサイに全く出会えていなかったらしく、元気でいることがわかってよかったとのこと。
そして、最後に出てきたのはヤブリスの仲間。
しっぽで木をたたいて威嚇しています。目線は木の真下。
木の下の茂みや木の穴の中に敵がいるため、そこに向かって威嚇することによって仲間に危険を知らせているのだそうです
チーターやハイエナがいる可能性もあるそうなのですが、この日は結局敵の姿は見えませんでした。
このように知識と五感を駆使して野生動物たちを探すサファリガイドの皆さん。
そのおかげで私たちも動物について知ることができるんですね。
今回は大きな野生動物に出会うことはできませんでしたが、その分 野生動物や自然保護の現状など興味深いお話をたくさん聞くことができました。
オンラインで参加のかわいいお子さんからガイドになろうと思ったきっかけを聞かれたときに、獣医さんなどのように直接動物を救う仕事でなくても多くの人に現状を伝えていくことも間接的ではあるけれど動物を救うことになるとても大切なことと語ってくれたゆかさん。ゲストスピーカーの加藤さんも同様のことをおっしゃっており、私たちも知ることの大切さを学ぶきっかけになったのではないかと思います。
次回開催のお知らせ
開催日時:8月21日(日)13:30~15:30
内容:【オンラインサファリ】
・動物のトラッキング(見つけ方)の極意
・足跡から読み取れる情報とは
・動物のフンクイズ
参加者特典
千葉市動物公園会場 参加者限定となります
お申込み
お申込みは外部サイト(Peatix)よりお手続きください。
https://chibazoo-0821.peatix.com/
①千葉市動物園<会場集合型> ②オンライン参加(ZOOM配信)いずれか選択してお申込みください。
ゲストの皆様のご紹介
8月7日ご来賓・ゲストスピーカーの皆様のご紹介です。
画像をタップしてご覧ください
8/7開催 ご来賓・ゲストスピーカーのご紹介 | MAKUHARI PLAY (makuhari-play.jp)
イベントについて
みなさまから頂いた参加費の一部が、クルーガー私営保護区の野生動物保護と、環境保全活動にあてられます。
主催:幕張PLAY株式会社
企画:千葉市動物公園
協力:公益財団法人イオン環境財団